Movable Type 4 vs WordPress 2.2

Movable Type 4 と WordPress の大きな違いはプログラム言語の違いです。(MT は Perl / WP は PHP)
そしてこの根本的な違いが、どうやらこの2つのソフトウェアの運命を決定づける大きな要因になっているようです。

結論から言って、WordPress は多くの面で Movable Type 4 を上回ることが判ります。 この比較記事は「技術的な視点」と言うよりも「使い手の視点」による評価基準となっています。

インストールで疑問が生まれる

まず、インストールを比較してみます。

WordPress:
サーバ環境によると思いますが、FTP 経由でファイルコピーしたらいきなりセットアップ画面を表示させることが出来ました。 セットアップ自体はデータベース情報の入力と admin 登録だけであとはセットアップ後の admin 画面でおこないます。 必要最低限の入力でとりあえずセットアップを終わらせる潔さは、WP 全体の性格に通じています。

Movable Type 4:
WP がパーミッション設定なしで動いたのに対し、MT4 は Perl 特有のというかつきもののパーミッション設定を行う必要がありました。 どのファイルをどのように許可するかをオンラインマニュアルで確認しなければならず、少し時間がかかってしまいます。 WP 同様、データベースの情報をセットアップして、アカウントも作成します。(パスワードを忘れたときの合い言葉も入力したりと、入力項目は若干多めですが、わかりやすい表現とインターフェースで作業自体はスムーズ) MT4 はその後、WP には無かった変わった動きをします。 「データベース再構築」というやつです。 はじめは「慎重にデータを構築しているな」と好感触な動きだったのですが、後々になってみるとやはり疑問を感じてしまう。 それは、WordPress と比較したらというだけなんですが、それこそが大きな問題です。
MT4 はその後、セットアップが終了しダッシュボードへ移動します。

再構築が要所要所で必要になってくる MT4

MT4 はその後も、設定を変えるごとに再構築が必要になる仕様で、これは定期的に再構築処理のために待たされる(&クリックを要求される)ということで、動的に設定が反映される WP とは大きなアドバンテージとなっています。 MT4 も部分的には動的な処理が出来るようになっていますが、定期的な再構築は任意のタイミングで必要になっているようです。 再構築をクーロンで実行させる設定もあるようですが、これはデータベースが大きくなるにつれ、確実にサーバへの負担を強いることになりそうですね。

動的であるか静的であるかは大きな違いです。

一番最初の印象は、1データベースに複数のブログを作成できインターフェースも良くできている MT4 のほうが良かったのですが、セットアップをつづけていくうち、やはり WP のスマートさに無意識のうちに好感触を抱いていく自分に気づきました。

オープンソースでデベロッパーの多い WP

MT4 は個人利用限定のフリーライセンスなので商用利用となると有償ライセンスが必要です。 その点、WordPress はオープンソースなフリーソフトウェアです。 プラグインデベロッパーをはじめ、デザイン テーマ デベロッパーも多いのが特徴です。
トレンド統計を Google で見ても、MT4 は海外ではほとんどユーザーがいないうえ、徐々にシェアを失いつつあるようです。 その点、WP は劇的にシェアを伸ばしており、バージョンアップも定期的にあり活気づいている印象を受けます。

基礎機能は MT4 のほうが上

MT4 は標準でタグ機能が備わっており、プラグインを探して、幾つかインストールしないとタグが使えない WP よりも上をいっています。 この点においては、初心者がセットアップしてすぐに使い始めるには MT4 がオススメです。
ただ、どちらもタグ機能を実装可能という点では同じですし、WP も次期バージョン2.3ではタグ機能を標準装備する予定ですので、比較できるのも今のうちだけでしょう。

ページナビゲーション機能においては MT4 が明らかに優れています。 カテゴリリンクや、タグリンクで記事を絞り込んだとき、WP では今どういう状態でページが表示されているかが全く判りません。 プラグインやテンプレートタグを追加することで、ある程度は対応できるのかもしれませんが、標準でその辺のナビゲーション機能を搭載している MT4 は評価されるべき点です。

インターフェースは MT4 が優秀に見える。でも…

WP の管理画面は「青・白・黒」だけのシンプルな画面なのに対し、MT4 はよく考えられた画面設計とカスタムアイコン、メニュー構造で作業をスムーズに行うための工夫が随所に見られます。 ですが、各ブログの設定と親のシステム設定の位置把握がイマイチで、時々、自分がどこで作業していたか判らなくなることがありました。 これは大きな問題に繋がる可能性があります。

WP のインターフェースは悪いというわけではなく、必要最低限な素っ気ないインターフェースデザインです。 素っ気ない割には使っていくうちにどこに何があるかで迷うことが無くなります。 実は WP の方が合理的で優れているのです。

ここには、商用ライセンスがメインな MT4 の付加価値戦略が見え隠れしています。 WP の素っ気ないインターフェースデザインで10万円近く払えといわれたら、ユーザーはそっぽを向いてしまうでしょう。 高付加価値のためにインターフェースを良くしようという姿勢は大いに評価できますが、MT4 のインターフェースにはもうすこし詰めなければいけない問題を抱えているように感じました。

まとめ

ここまで読んだ人は、私がどちらを選択すべきかをもう答えを導いていることはお解りのはずですw ですがそれは「あくまでも、ブログを個人で立ち上げて、単体で運用したい人」のための選択肢の提案であって、今やブログは mixi など SNS の機能の一部である事が重要な時代になってきています。

個人で運用する最大の醍醐味は、フルカスタマイズできる魅力に尽きます。 そのような運用を考えるとき、デベロッパーの多いオープンなソフトフェアを選択するか、自分自身で切り拓いていく道を選択するか。 それは、あなた次第です。

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“Movable Type 4 vs WordPress 2.2” への3件の返信

  1. 全然違う話題でこのページにたどり着いたのですが・・・。
    何となくコメントしていきたいと思います。
    MTの場合、HTMLファイルにスタティックなページとして出力するので、各ページにアクセスする際の負荷はほとんどありません。
    しかし、WordPressの場合、ダイナミックページで出力しますので、各ページにアクセスされる度にそれなりの負荷がかかります。
    アクセス数や、テンプレートにもよりますが、全体としてみればサーバーに対する負荷はかなり変わってくると思います。
    ただ、MTは再構築の負荷がとてつもないですから・・・。
    専用のサーバーか、レンタルの共用サーバーかでも、事情は変わってくると思いますが。
    このことに触れられていなかったので、なんとなく・・・。
    でも、僕も最近Wordpressに心が傾いています。

  2. techno さん、コメントありがとうございます。

    確かに静的ページを生成する MT はページクロールにおける負荷はほとんどありませんね。 ちなみに、WordPress にはサーバー上にキャッシュを生成するプラグインがあり、ページ生成処理を激減させることが可能ですよ。

    私が「サーバーの負荷」についてあまり触れなかったのは、スタートアップした個人ブロガーの視点でライティングしたからだと言い訳しておきます。

    それは、「ハードウェア的な話をしたらキリがない!(お金の話になるw)」からです。

    導入をお考えなら、無料お試し期間のあるレンタルサーバで、両方を動かして体験されることをオススメします。 そうするとハードよりもソフト自体の「使い勝手」にフォーカス出来ますし、「MT の再構築」がいかに「サーバの負荷」だけではなく「管理者(投稿者)の無駄な時間」であるかが判ると思います。 数百エントリのブログのテンプレートを編集して、再構築が終わるのを待って、結果を見ることを考えても “めまい” がします。。

  3. はじめまして。
    普段ばwordpressを使っていますが、MT4が出たので試しに使ってみました。
    テンプレートの選択などは新しくなってからはだいぶマシになっていますが、「再構築」する際には待たされるのでイライラさせられます。
    というわけでwordpressを応援します。

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